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アブアンバサダー2500Cの闇、サイモン下村氏のご機嫌クラッチ!

アブ アンバサダー2500Cの歴史

 

渓流ファンに大人気のアブアンバサダー2500C。

ヤフオクでの取引価格は高く、高価なリールですね。特に左巻きモデルは

もはや、アブアンバサダーの価格とは思えないほどです。

しかし、実は、このような人気で、高価なリールであるのですが、構造的な欠点があります。

この欠点を説明する前に、このリールの簡単な歴史について説明します。

 

<1975年から1976年>

この時期に生産されたモデルは、ハンドルを1回転させるとクラッチがつながるモデル。

クラッチボタンは10253を使用。

ドライブシャフトとクリッカーは分離するモデルです。

ウオームシャフトは10205で、この爪が折れるのは有名です。

 

<1977年から1990年>

この時期に生産されたものは、ドライブシャフトとクリッカーが一体化しており

ハンドル半回転でクラッチがつながります。

ウオームシャフトはリング付の10364となり、クラッチボタン(10369)の形状も若干変更されました。

たとえ、爪が折れても使用できるように改善されています。

 

 

<1994年から2004年>

この時期に、IARモデルとなりました。

IARモデルは、ハンドルを回すと直ぐにクラッチがつながります。

その為、レスポンスはかなり良くなりました。

 

<2007年以降>

これ以降は、復刻版が販売されました。

しかし、問題は抱えたままです・・・・。

 

アブ2500Cの構造的な欠点

 

2500Cのウオームシャフトの爪が、折れやすいのは有名な話です。

しかし、説明書には、問題があるパーツにも関わらず、適切なウオームシャフトの取り外し方が記載されておらず、

スペアパーツで儲けようと思っていたのではと思われるほどの不親切な説明書でした。

そして、既に純正パーツの供給は終わっています。

しかし、最近ではアベイルさんや、バレーヒルさんから社外品のウオームギヤが販売されているので、

この問題はこれらパーツの購入で解決されています。

 

 

 

 

この爪が折れる問題以外にも、2500Cには問題がありまして

それはズバリ、クラッチです。

IARが搭載されるまでのオールドタイプの2500Cは、ハンドルを1回転、もしくは半回転させて、

クラッチがつながります。

その半回転、もしくは1回転している間は、ハンドルが重く、何かを引きずったような感じです。

また、クラッチボタンは重たく、切れが悪く、クラッチがつながった時に大きな音がするモデルもあります。

またクラッチボタンを押した際に、何か引っかかったような感じがします。

IARモデルはハンドルを回すと、すぐにクラッチがつながるので、ハンドルを回した時に引きずったような

感覚を感じる前にクラッチがつながりますが、問題の根本はオールドと同じです。

クラッチボタンは重たく、切れが悪く、繋がった時に大きな音がするモデルがある、またクラッチボタンを押した際に、

何か引っかかったような感じがするのも、オールド2500Cと同じです。

 

簡単に欠点をまとめると下記5点です。

 

1:クラッチを切って、ハンドルを回した時に引きずり感がする。(非IARモデルはそれを特に感じやすい)。

2:クラッチボタンを押したときに、引っ掛かり感がする。(全モデル)

3:クラッチボタンを押す時に、軽い力で気持ちよく押せない。(全モデル)

4:クラッチがつながった時に大きな音がするモデルがある。

5:クラッチの切れ味が悪い。(全モデル)

 

 

ABU社は知っていたクラッチの欠点

 

当然、ABU社もこの問題には気づいていましたが、どの様な対策をしてよいのか

分からないまま、あれこれと策を打つのですが、いかんせん、決定的な対策を講じることができず

結果,解決策を見いだせないまま、長い間迷走し続けることとなります。

例えば、10245のスプリングを線形を太くして、スプリングを強化をしました。

 

 

また、10228のスプリングも線形を太くし、徐々に強化してゆきました。

しかも、色々な強さの10228スプリングが出ましたが、年式毎に管理されることはなく

どの年式に、どの線径のスプリングが装着されているのかは、誰もわからない状態で

販売され続けました。しかも品番は10228のままです。

 

 

しかし、残念ながら、これらのスプリングを強化する対策は問題を根本的に解決するには至りませんでした。

 

ブッシング直下にある#10245と、クラッチボタンに内蔵する#10228スプリングの両方を強化すると言う、

まったく対策になっていない対策を続けたことにより、

クラッチボタンがとても重く、クラッチを繋いだ時に、大きな音がする個体が生まれました。

 

スプリングとは両刃の刃の様に、押す時と引っ張る時の両方に、同等の力が掛ると言う原則を、

対策する際に念頭に入れなかったこと、(あるいは気に掛けなかったこと)が、

大きな音がするリールを生み出す結果をもたらしました。

 

そして、問題を抱えたまま、このリールは販売され続けました。

 

特に、2007年の復刻版で、このクラッチの問題は顕著になります。

 

ご機嫌クラッチの誕生

 

そんな問題を抱えたまま、2012年 2500CDLティール、2501CDLティールを開発、生産する運びとなりましたが、

この時点でも、まだクラッチの問題は解決されておりませんでした。

この企画を受けた、シモンズ・スポーツ社にサイモン下村さんが下記提案を行いました。

サイモン下村さん 「高額商品をこのようなクラッチでは全品がクレームになるよ、ABU社に改善してもらいなさい」

しかし、アブ社はこのクラッチの問題を解決できませんでした。

 

 

そこで、サイモン下村さんはすぐに、問題を理解し解決、わずか1カ月で、”ご機嫌クラッチ”のプロトタイプを開発し、

無事、”ご機嫌クラッチ”を装着した2500&2501CDLティールを販売、そして完売することができました。

しかし、一部ティールは、ご機嫌クラッチに入れ替え前に既に、販売されてしまったので、全てのティールの

クラッチ問題が解決されたわけではありません。

そして、残念ながら、これをもって、アブ2500Cは廃盤となりました。

個人的には「早く復活してくれないかな」と期待しております。

よって、2012年に開発生産された2500&2501CDLティールの大半以外の、2500C&2501C(1500C&1501C)、

2600C&2601C(1600C&1601C)

はクラッチに構造的な問題を抱えているという事となります。

一部ティールもご機嫌クラッチが装着前に販売されたため、問題を抱えています。

 

サイモン下村さんが開発したご機嫌クラッチの特徴

 

<10245のスプリングの改善>

純正の10245のスプリングは、線形が太く、またスプリング自体の直径が小さいです。

その為、下記図のように、ブッシング(10226)が斜めになり、これが引っ掛かりの原因となりました。

 

 

ご機嫌クラッチでは、線形を細くし、直径を大きくすることで、ブッシング(10226)が斜めになることを

防止しております。また線径を細くすることで、軽い力でもクラッチボタンを押すことができます。

 

 

 

<適切なパワーの10228スプリングを用意>

このクラッチボタンに装着されているスプリングですが、実は1975年から1977年までに生産された

初期モデルの線径が一番よかったのですが、ABU社の迷走の為、様々な不適切なパワーのスプリングが取り付けられています。

正直、どのモデルに不適切なスプリングがついているのかわからないので、サイモン下村さんが、初期モデルに

装着されていたスプリングに限りなく近い物を作成し、ご機嫌キットに同封されています。

これに交換することで、強すぎるスプリングが適正な物に交換できます。

軽い力で、クラッチが切れるようになります。

また、大きな音がすることもないです。

 

 

<ブッシング10226の素材と形状変更>

この素材、一見単なるプラスチックに見えますが、サイモン下村さんが試行錯誤をして開発した

特殊な摩擦抵抗の少ない素材を使用して作られています。

その素材についてはマル秘です。

また形状も、ノーマルとは大きく変化し、UFOのような形をしています。

この素材、形状と特殊な素材のおかげで、クラッチボタンを押した際の、引っ掛かり感と、

オールドモデルでのハンドルを回した時の引きずり感を防止しているのです。

試しに、斜めにこのブッシングを押してみても、抵抗感なくスムーズに押せ、また戻りもスムーズです。

決してハウジング内に引っかかる事はありません。

 

 

その為、よりハウジング内に引っかかりにくくなっております。

また、ご機嫌クラッチにはアベイルさんのパーツのようにBBは装着されておりませんが

摩擦抵抗の少ない素材の為、ハンドルを回した際の抵抗も少なく、巻き心地も”ご機嫌”そのものです。

このように、小さなパーツですが、非常に良く考えられて作られているパーツです。

交換するだけで2500Cのクラッチの切れ味は劇的に良くなります。

さすが、アンバサダーを知り尽くしたMr.アンバサダー、サイモン下村さんです。

 

 

 

 

アベイルさんのパーツとの比較

 

アンバサダーのアフターパーツで有名な会社にアベイルさんがあります。

私も、大変お世話になっており、優れたパーツを多数開発、製造、販売されていますね。

その、アベイルさんにも、2500Cのクラッチ対策品であるピニオンブッシングBBキットが出ております。

試しに、比較用に、取り付けてご機嫌クラッチとの比較をしましたが。

アベイルさんのは、確かに、純正よりは良いのですが、ご機嫌クラッチと比較すると

残念ながら、ご機嫌クラッチの方がクラッチ性能に関しては上であると思います。(個人的な感想)

 

サイモン下村さん、ご機嫌クラッチ > アベイル ピニオンブッシングBBキット > ノーマル

 

といった感じです。

 

アベイルの10245スプリングも直径は大きくしているのですが、ブッシング(10226)の形状が純正と似ており、

 

引っ掛かりの問題を解決するには至っていないです。

アベイルさんはBBを装着しているので、どうしてもブッシングに厚みが出てしまいます。

 

 

その厚みが、ハウジング内での引っ掛かりを誘発しております。

試しに、少し斜めの角度からブッシングを押してみると、ハウジング内に引っかかって

しまいます。

ご機嫌クラッチのUFO型のブッシング形状が、引っ掛かり防止にとても貢献しているのが良くわかります。

また、10228のスプリングを交換できないので、いったいどの強さのスプリングが入っているか

分からない2500Cの現状を、この商品には反映されていないように見受けられます。

1975年の初期モデルの10228スプリングしか存在していない前提で、開発されたと思われます。

 

 

以上の理由から、ご機嫌クラッチと比較すると、クラッチを押したときの引っ掛かりや、切れ味が

悪く、オールドでの引きずり感、そして大きな音のする欠点の根本的な解決には至っていないのです。

純正対比では良いのですが、もう一歩といった感じです。

しかし、BBが装着されているので、巻き心地は良いです。

アベイルさんのピニオンブッシングBBキットは、若干のクラッチ問題の解決と、

巻き心地を良くしているパーツであると思います。

感じ方は、人それぞれですので、あくまで私個人の感想です。

また、アベイルさんのパーツはご機嫌クラッチよりも、500円程安いので、

安価に抑えたい、巻き心地も良くしたい、若干のクラッチの改善でよい、

と思われる方にはアベイルさんパーツでも、宜しいかと思います。

 

 

しかし、クラッチの性能を劇的に変えたい方は、ご機嫌クラッチを断然お勧めいたします。

 

ご機嫌クラッチの購入

 

いかがでしたか、ご機嫌クラッチは本当に良く考えられて作られているので、大変お勧めのパーツです。

ご機嫌クラッチは、E-Bayや、ヤフーオークションで購入できます。

E-Bay URLは下記です。

https://www.ebay.com/itm/164458134479

 

 

YouTubeでもご機嫌クラッチを詳しく紹介しておりますので、よろしければ覗いてみてください。

 

アブ アンバサダー2500Cクラッチをサイモン下村氏が大改善!

 

英語版は下記となります。 英語の勉強も兼ねて、興味ある方は覗いてみてください。

 

For Smooth Operation of the ABU Ambassadeur 2500C, CI, CIAR Clutch!

 

 

最後までありがとうございました。

 

  • この記事を書いた人

アッキー

タイランドに駐在する釣り吉のブログです。 アンバサダー、カーディナル等のタックル情報、怪魚釣り釣り情報を発信しております。 YouTubeもやってますので宜しくお願いします。 https://www.youtube.com/channel/UCKhi0W_iarA98b9bOtX3lKQ

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